「僕たち」と「コレカラ」を鼎談
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hyphenateは創業(2020 年 1 月に商号を変更)して18年を迎え、これまで社長を務めてきた平田智彦に代わり、浅沼吾郎が新社長に、宮崎了が取締役に就任します。
新しい章の突入に向けて、3人が考えているコトとコレカラについていろんな角度から、いつものトーンで語り合いました。

社長交代劇
hyph. 進化論
ユニークネス
もう一度考えるhyph. とプロダクトデザイン
気候変動に備える
A New Chapter
平田:代表を交代する、と「渡す渡す詐欺」で5-6年経っちゃったね。
浅沼:いや、もっと前から言ってましたけど(笑)。
平田:本気で交代しようと思ったのは、2つの理由があるんだよね。一つは、最近のデザイン活動の中で2人からヒントやアイデアを得られることが多くなってきたこと。表現にしてもアプローチにしても、僕の引き出しにはなかったことを、2人はやっていて、自分の講演なんかでも自分が考えたように使ったりしている。もう一つは、自分のやりたいことをもっと無邪気にやりたいと思っていて、それを二人が容認してくれていること。
この2人に任せておけば、経営を高みに持っていけるって思ったんだ。

宮崎:平田さんから、浅沼さんと僕に個別に社長にならないかという声が掛かって。僕は、迷わず「やりたい」っと言ったんです。僕は、どんなに困難な状況においても必ず解を見いだせるというポジティブな信念とか意思を持っていて、目標を定めてそれに向かって突き進むハングリー精神が強いほうなので、こんな絶好の機会は最高じゃないですか!!
でも組織として考えたとき、会社をどうデザインするかを考えることができるのは浅沼さんだなと。
浅沼:僕は、この話をもらった時、経営者というスイッチはまだ入っていなかった。平田さんとは長い付き合いで、随分前から並走してきたけど、平田さんはファウンダーで、僕らは自分の会社だという感覚では正直ありませんでした。ただ、「ダイトリ(代表取締役)」という肩書だけど、宮崎さんと僕、そして平田さんの得意な部分を出していけるような、僕ららしい経営スタイルを作っていけるんじゃないかなと思って。なんか自然体で担当できるなっと思って引き受けました。
平田:いいね、うちらしい経営のスタンダードをつくっていこうよ。際立ったボーカルがいるのではなく、誰もがセンターをとるようなバンドみたいな感じ?(笑)
平田:僕はメーカーのデザイナーとしてのキャリアがあって、プロダクトデザインを事業の主軸にこの会社を立ち上げたけど、2006年当初からプロダクトデザインを通した商品価値の提供だけじゃなく、新しいムーブメントが来ると予想していたんだよね。UIとか、UX、CXなどといった体験価値の提供は今では当たり前になっているけど。
今、僕らは、プロダクトデザイン以外にも、サービスデザイン、コンセプトデザイン、ブランディング、MVVなどいろんな事業領域のクライアントワークを広げてきているけど、自社を型にはめた事業をしなかったから、フレキシブルに展開できたと思うんだ。
浅沼:当時は、日本ではデザイン思考なんて言葉も出回っていなかったんですよね。でも、僕たちは、問題定義から始まり、リサーチして、シャドーイングして、インサイトを導き出し、プロトタイプでアイデアの価値を検証するっということは最初から取り組んでいて、デザインファームの台頭のIDEOなんかと同じ速度感で動いていたような感じでした。
最初はプロダクトとして落とし込むことが多かったけど、その後、車のディスプレイやスマートフォンのUI、医療機器業界なんかにもデザイン領域が広がっていきました。
宮崎:基本的にデザインの考え方や向き合い方は変わってなくて、お客様の課題や求められていることが変わってきたから、僕たちは強弱をつけながらアプローチを変えている感じですよね。
平田:僕たちの活動も考え方も、もちろん進化はしていってるよね。
そんな中で変わっていないのは、僕らはお客様に面白いと感じてもらえることを提供するのを大切にしていたし、それはお客様と一緒にやっているからこそ面白さを共有できるっていうことなんだよね。それを提供できないのは、自分たちのせい。
「良い」を提供しても、それは満足の範囲でしかなく、「好き」を提供できるとお客様の感情を動かすことができるという思想を大切にしつづけたいよね。

平田:個人で言うと、浅沼さんはあるクライアントの膨大な情報から、未来ビジョンを描いたり、概念的なものを可視化するのが本当にすごいなって思うんだけど、あれってどうやっているの?
浅沼:ありがとうございます!相対的な評価はわからないんだけど、お客様と議論を幾度となく重ねて詰めていく、素材の中から本来の意味や情報を分解して再構築する編集みたいな感じです。そして限られた時間の中で、早い段階で提供するっていうことは心がけていたテーマでしたね。
素材を拾うには、お客様とのコミュニケーション力つまりお客様の想いや言葉を引き出す質問力、仮説を描きながら対話を瞬時にしていく即興性が必要で、ここは宮崎さんが長けているんですよね。
平田:二人でいいバランスが取れているよね。
宮崎:会社全体のユニークネスでいうと、「人間くさい」というところかなって(笑)。さっきの平田さんの話につながるんだけど、僕たちは、お客様が本当に気に入ってくれているかとか、相手との深い結びつきとか共感というのを大切にしていて、wetな関係で仕事を進めていくというのが、hyph. のいいところかなって思っています。

浅沼:そうそう、僕たちは「チームや人の思い」を込めたアプローチだったり、「誰も取りこぼさない」ということを大切にしているというところは、ここにあるんですよね。可視化する、言語化する、そして、これを実践する人、つまりお客様が消化し、自分の意志として主観的に動けるように鼓舞するところまでが僕たちの役割と考えています。
平田:僕たちもクライアントのブランドになりきって、「“WE” 私たち」 を一人称を使って打ち合わせをしたりするんだけど、ここは根付いているよね。チームが集まったときの方が良いアイデアやクリエイティビティが発動し、価値が拡張できるから、会社や立場、部門などの垣根を超えた人材が、心がつながって協働することに意味があるんだよね。
浅沼:工業デザインとしてのアウトプットの持つ重要性はとても大きいと思っています。
サービスデザインやUXデザインで言うと、主にUIやWebの開発をやっているデザインファームが取り組んでいることが多いですが、物理的なモノの使われ方とUXの考え方とインターフェースの考え方って自分たち の生活の中で発生している。そういった中で本当の意味でのUXを設計して考えるには、モノは必要だと思う。なので、自社の中でプロダクトデザインができるというのは強みとなっていて、ここは大切にしていきたいという想いを持っています。
宮崎:プロダクトデザインをやっている他のデザインファームとはアプローチが違いますよね。当社のプロダクトデザインの特徴ってどういうところなんですかね?
浅沼:今、取り組んでいるのはコンポーネントが決まっていて、量産型のプロダクトの依頼が多いです。アドバンスの依頼だと特徴が出しやすいけど・・・。アドバンスデザインや実験的なプロダクトデザインももっとやっていけたら面白いですよね。

平田:それをやるには、願望オリエンテッドな精神が必要だよ。やりたいっという個人の気持ちも実現するには大切で、僕はちょっと暑苦しいくらい、そんな思いが強いところがあるよね(笑)。
平田:今までは、自然や環境を考えるとき、こっちを立てれば、こっちが落ちるというトレードオフな感じだったけど、今は自然界、エネルギーをつくる側、つかう側の三方よしという考え方になってきている。
僕らが持たなくてはいけない知識は、環境や生態系が本当にどうなっているのか、今の社会に点在する技術、そして顧客のもつ技術や課題、さらに生活者である自分たちの行動などをしっかり見ていく必要があると思う。

浅沼:環境も含めて社会的な課題は、デザインで解決できる領域はあると思う。大切なのは感度だと思っていて、お客様の条件だけで考えるのではなく、自分たちで考えて提案できるようしなくちゃいけなくて、この件に携わるときに備えて、知識を蓄積しておくことが大切ですね。
宮崎:デザイン的な側面で言うと、今後は対自然に対しても、全体のレベルを上げなくてはいけないと思う。
情報に踊らされる感もあって、だからこそ原点に返って実際に目で見るとか、リアリティを持った答えを出せるというのがポイントになるのと、何を信じてそれを選択するかという信じる先を作ってあげるのがポイントかなっと思ってます。信じることを作るためには、こちら側がその裏付けや理解をしなくちゃいけなくて、本質的な解決を今後は提案には求められると思う。
浅沼:それと、それをどう伝えるかはデザインの力は大きいですよね。

浅沼:僕たちは共創型のデザインファームで、「デザインをみんなのものに」というパーパスを掲げています。これは、どういうことかというと、みんなが課題解決力を持つことによって、それぞれが誰かのことを考えられるようになって、世の中の問題も減り、喜びが増えてくるっというエコシステムみたいな感じです。
街並み、シルバーシート、マンションの掲示板など僕らの周りの大きなこと、些細なことでも、みんなの意識や考え方で世の中は変わってくると思っていて、僕らだけではなく、一緒に体験することで人の感性を刺激し、行動を変えていく、そういう想いが含まれています。
宮崎:そうですね、パーパスを僕流の表現に変えるとすると、もっと世の中をシンプルで素直なものにしたい。例えば、感じたものを好きだとか、面白いとか、これめちゃくちゃいいと思うのだったら、それをやればいいじゃんというシンプルな話で(笑)。だけど、今の時代はいろんなハードルがあって、周りの目を気にして、結局やれない。そんなんじゃなくて、もっと自分に素直になってという気持ちは、デザイナーやクリエーターは持っていて、みんながそういうところを持てるようになれば、きっと楽しい世の中になれるんじゃないかな。
子供のころは思考が柔軟で、教育を受けるにしたがって落ちてきて、いかにその柔軟性を取り戻すのか。これは、自己変容型知性と言うんだけど、これは大人になっても得られるものだから、僕らはこういうことも含めて実現していけたらいいなっと思っています。
浅沼:いろんな条件の中で、シンプルに発想することを引き出すことが、クリエイティビティを上げるためのポイントになってきますよね。
平田:自分と異なる考えだったとしても、人の言っていることに耳を傾け、 受け入れるキャパシティも持つことや自己変容型知性をどうやって持ち上げるかはデザインの力だと思う。僕たちが、皆さんのクリエイティビティを開花させることで、まだ見ぬ新しい景色を一緒に創造していきたいね。
