Column
社会で活きる発想力と実践力を育む:桑沢デザイン研究所でのデザイン教育
Kuwasawa Design School
hyph. 取締役COOの宮崎了は、2019年より6年間にわたり、実践的なデザイン教育で知られる桑沢デザイン研究所で非常勤講師を務めています。彼が教壇に立つのは、プロダクトデザインを専攻する学生たちが、社会で即戦力となるための力を身につける「総合デザイン科プロダクトデザイン」の3年生の授業です。
このコラムでは、宮崎が桑沢デザイン研究所での教育を通じて培ってきたデザインへの深い洞察と、彼が企業やクライアントへ提供したい価値について紐解いていきます。
桑沢デザイン研究所は、「すぐ社会で活かせる力」を重視する実践的なデザイン教育に特化した専門学校です。単なる知識の詰め込みではなく、実技と現場に近い課題を数多くこなし、グループワークやプレゼンテーションを通じて、学生たちは以下のような「デザインの基礎力」を徹底的に磨き上げます。
観察力: ある対象について、具体的、多面的、継続的に情報を集め、自由に解釈する能力
理解力: 観察によって集められた情報を、特定の視点や基準によって整理し、対象のあり方を知る能力
発想力: 対象の理解やそれに基づいた予測をいったん棚に上げて、多様な試行錯誤から新しいあり方を発見する能力
構成力: カタチの性質を体系的に分析し、それらを計画的に組み合わせることで、断片的な発想をまとまりのアル全体へと整える能力
(桑沢デザイン研究所WEBサイトより)
宮崎が担当する授業は、まさにこの桑沢デザイン研究所のDNAを受け継ぎつつ、学生当時「本当に知りたかったこと」を凝縮し、さらに今の時代に合わせてアップデートしたものです。「デザインリサーチを起点に、インサイトを読み解き、コンセプトとアイデア創出につなげる一連のデザインプロセスを、実践を通して学ぶプログラム」では、感性や定性的な表現だけでなく、それらを論理的に伝え、ビジネスへ活用する視点も重視しています。これは、これからのデザイナーに不可欠なスキルの1つです。既存のカリキュラムを補完し、学生たちがより実践的なデザイン活動ができるよう導きます。彼は、デザインの可能性や幅広さ、そしてデザインコンサルティングという職種があることも含め、学生の視点を広げることに力を注いでいます。

宮崎の授業のベースとなるのは、「デザインリサーチ」です。これは単なる市場調査を行うことではありません。人を深く観察し、その行動の背景にあるインスピレーションを得ることで、潜在的なニーズや、まだ誰も気づいていない“問い”を発見し、「0から1」の新しい価値を生み出す手法です。
既存の問題を解決する「1から10」のアプローチであるのに対し、宮崎の授業では、「デザインリサーチからターゲットの課題を見つけ、コンセプトとアイデア創出のためのプロセスを、実践を通して学ぶ」ことを重視します。これにより、学生はデザイナーとしての視点を広げ、思考の選択肢を増やし、より実践的でリサーチベースのプロセスを体得します。

宮崎は、授業を通して以下の3つのポイントを特に大切にしています。
Point1 | 実践性: : 学生が社会に出た時にすぐに活かせる、ロジックの通ったリアルなスキルとプロセスを伝授すること。
Point2 |ユーザーのニーズだけでなく、ユーザーが置かれている状況も含めて深く知り洞察に繋げるること。
Point3 |生徒一人ひとりが最終的なアウトプットに自身の意思や想いを反映できるよう、整理・再確認しながら考える時間を設けること(技術だけでなく、デザイナーとしての「軸」を育むため)。
2025年度の授業もラストスパートを迎える中、各生徒のプレゼンテーション準備が行われました。宮崎は一人ひとりの課題に真剣に向き合い、学生が考えてきたアイデアをさらに深めたり、新たな視点から見つめ直したりできるよう、個別に相談に乗りながら思考を徹底的に引き出す準備を進めています。デザインリサーチ、インサイト発掘創出、アイディエーション、コンセプト、デザインイメージ作成といった一連のプロセスを通じて、学生たちは自らが発見した課題に真剣に向き合い、その熱い想いを発表する姿は、まさに未来のデザイナーとしての「種」が芽吹く瞬間です。

彼らの言葉からは、宮崎の授業が単なる知識提供に留まらず、学生たちのものの見方や考え方そのものに深い変化をもたらしていることが伺えます。
宮崎が学生たちに伝えているこの価値創造へのアプローチは、まさに私たちhyph.が企業やクライアントと向き合う上での核となっています。
私たちは、依頼された課題を解決するだけでなく、お客様の事業やサービス、そしてその先にいるユーザーを深く理解するための「デザインリサーチ」を実施します。表面的なニーズの裏に隠れた本質的な課題を探り当て、そこから「0から1」の新しい価値創造を具現化しています。
私たちが提供するのは、単なるデザイン成果物ではありません。それは、お客様と共に未来を描き、まだ見ぬ可能性を発見する「共創のプロセス」そのものです。お客様自身の想いやビジョンを大切にし、そこに私たちの持つ知見を掛け合わせることで、期待を超える「感動(LOVE)」や、深く共鳴する「共感」を生み出したいと考えています。
当コラムでは、宮崎が桑沢デザイン研究所で実践する、発想力と構想力を育むデザイン教育の一端をご紹介しました。
学生たちは、「デザインとは何か」という根源的な問いに立ち戻りながら、自らの視点を更新し、社会に対する解像度を高め、実践力を身につけていきます。
ビジネスにおいて、デザインは企業戦略や事業とユーザー視点をつなぐ知的なフレームワークといえます。特に、ユーザー理解や課題発見から出発する「デザインリサーチ」の姿勢は、新たな価値を構想する上で欠かせない要素となっています。
複雑な課題を構造化し、既存の枠組みを越えて価値を再定義する——その過程において、デザインは本質的な思考の手がかりとなります。
当社では、こうしたデザインリサーチの知見を応用し、アプローチを活かした、企業様の新規事業開発や既存サービス改善を目的とした研修やワークショップも設計・実施しています。
組織の視野を広げ、新たな価値を構想するためのきっかけとして、ご相談ください。
Edit : 大塚暁子( hyphenate )